小規模M&Aで副業をスタートする

相談事例

事業承継の現状

日本にある会社のうち85%で約381万社「2014年時点中小企業庁発表」あると言われています。2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は245万人となり、そのうち127万社(日本企業の1/3が後継者未定(親族内の承継ができていない状態です。)が後継者が未定のようです。黒字企業も多くあるのに、引継ぎ先が決まっていないというのは残念なことです。廃業する会社の61.5%が黒字廃業という調査データもあります。

私がただ残念がっているだけでなく、もしこの事業がなくなると650万人の雇用が減少し、22%のGDPが失われる可能性があり深刻な状況です。政府も数年前から取り組みを進め、今後10年間で60万者の第3社承継を実現するという具体的な目標を掲げています。「事業承継引継ぎセンター」や「事業引継ぎ・創業補助金」など支援策もでてきています。

MBO/EBOなどの手法はありますが、資金調達と経営者保証をはずすのが難しいためなかなか難しく、親族内承継ができなければ第三者承継を目指すしか、会社のオーナーを替えることができないのです。

さらに、規模が小さい企業は、手数料の旨味もないため銀行などの事業承継専門サービスの俎上に乗りません。以前、事業承継の相談があって、とある地域地銀のサービスを紹介したのですが、「相手にされなかった。」と事業所さんに怒られたことがあります。事前に、その金融機関の方から事業承継の相談があったらぜひうちに紹介してくださいと言われたのですが、実際は小さい案件は相手にしないということがありました。事業承継引継ぎ支援センターといった行政の機関が設置されているところもありますが、事業承継には支援者が足りていないというのも課題です。

厳しい現実ですが、小規模の会社(売上1億円未満))で、事業承継サービスなどで相談ができないとなると残りは、廃業(あと何年やろうかな)といった考えになってしまいます。

スモールM&Aマッチングサイト

こんな状況で最近注目されているがスモールM&Aを仲介を専門とするサイトです。ネットで事業を引き継ぎたい人を探すものです。いわゆるマッチングサイトですね。私もユーザー登録をしてみましたが、毎日のように売却規模の案件が更新されています。サイトにもよりますが、一から事業をはじめるよりは既存の事業のほうが始めやすいといった方が多いようですね。サラリーマンの利用も多いです。たしかに、サラリーマンが始める場合、新規で顧客を獲得していくのは時間もかかり片手間ではできませんが、出来上がっている事業であれば顧客もついているし、経営改善策のイメージもつけやすいからではないかと思います。

スモールM&Aのマッチングサイトは数多く出てきていますが、支援機関や診断士仲間の間でよく聞くのはトランビ(TORANBI)、バトンズです。行政との連携事業もあるのでお勧めです。TRANBIさんは、TANE-Biと字ずらが似てて勝手に親近感をもっています。

<<活用方法>>
事業承継希望者向け:「匿名で登録できるし、頑張って登録しませんか?」などと声かけします。地元のウナギ屋さんは、声かけているうちに地元で承継先がきまったのですが、たぶんネットのほうが高値で売れたと思います。ただし、事業承継する側の思いもあるので、無理強いはしません。お金だけじゃないと思います。
「ほかにも、売上5,000万円ぐらいのお店で普通に買い手がつき人気のようです。平均でも15件の申し込みがあるので、反応をみてから決めたらいいんじゃないですか?」などなどです。
個人的には、これまでの経営者の方が大事にされてきたことが、引き継いだ先でうまく活用されることを願っております。飲食店のソース一つにとってもそこでしか味わえないものがあったはずなので、そういった無形の経営資源が残されれてくれることが嬉しいです。

経営者向け:「事業が売りにでてるけど一緒にみませせん?」このテーマは割と盛り上がります。建設業関係者が、飲食店をやってみたいとか、コインランドリーをやってみたいとかなどなど新事業は経営者の数だけマッチングの可能性が広がります。IDを一緒につくってもらい、経営者がみれるような状態にしておくと、具体的な話に後日繋がります。その方は、以前、不動産購入に興味があっていろいろ見ていたようですが、事業承継のほうが金額の振れ幅があって楽しいみたいですね。いまは、地元で自分の事業と関連のある業態があれば赤字でも買おうかなと具体的におっしゃっています。

事業の売買と経営力

こうしたスモールビジネスを売り買いするサイトは便利ですね。サイトを実際につかってみてもらうとわかりますが、M&A案件は匿名(NN(ノンネーム)リスト)です。買い手がアプローチして、売り手がオッケーなら初めて公開され、交渉にはいります。

M&Aを繰り返して売却益を稼いでいくというより、地元に根付いた事業をわがことにして伸ばしていく能力が求められるところですね。

以前紹介してプロ人材の副業は、企業からのニーズがなければ副業先はみつかりませんが、自分で買う余力があれば事業は作っていけそうですね。必要資金はまちまちなので、安全資金ではじめるといいでしょう。いまの会社でやっていることを持ち込めば、利益率を向上し、収益力を改善することもできるし、自信の経営力を試せる場が増えます。
自分の事業として常に考えを巡らせるのは、心配事もありますが結構面白いです。私の周りの経営者の人が元気なのは、自分の事業を抱えているからでしょうね。

では