コロナ借換保証とは?
民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度が開始(2022/12/23)されました。新型コロナウイルス感染症の影響下で債務が増え、返済への猶予期間が必要な場合の借換えに対応する制度です。(コロナ融資の借り換え信用保証制度)
保証限度額1億円、保証期間10年以内、据置期間5年、保証料0.2%補助前は0.85%)、要件:売上又は利益率が5%減少、経営行動計画書の作成、金融機関の継続的な伴走支援が条件です。
<<ポイント>>
・返済負担軽減
・新たな資金需要にも対応
厳しい企業への延命についての是非は議論されるべきですが、中小企業も必死ですので必要な方に届いて欲しいです。
「経営行動計画書」の作成
コロナ借換保証への申し込みには、「経営行動計画書」が必要のようです。中小機構のページにサンプル、見開き1枚の簡易なものが掲載されています。簡単だからと言って安易に済ませないことをお勧めします。
右下に(本計画書中、別に添付する計画書がある場合には項目名にチェックしてください。)とあるので、別の計画書があったほうがいいですね。(しっかり書いてくださいというと経営者の方にとてもいやそうな顔されます。私が金融機関ならしっかり書くように求めます。)
「書けるわけないやん。事業辞めろっていってるんか」と怒る人もいます。厳しい状況はわかります。そういう人は、誰かに代筆してもらうことになりますがお金が係るので自分で書くことをお勧めします。真剣に取り組んでいないとは思っていません。でも、考えたことを整理して資金提供者に、わかってもらうよう説明するのは当たり前のことだと思います。
また、今回のようなコロナ融資の借換えは、ラストチャンスと思ってしっかり計画を練ったほうがいいのでなおさらです。
できれば事業再構築補助金と同じレベルかそれ以上の詳細な計画書を別で作成してあると良いと思います。
踏み込んで書く!
<<現状認識に書く内容>>
事業概要・・・事例では「自動二輪車販売」と業種が書かれています。事業の内容を具体的に書いていった方が無難です。自動車二輪販売であれば、新車ディーラーなのか、中古を買い取って販売しているかなど詳細に書いていくことができるようです。商品やサービス、その商品調達方法などです。販売面については顧客層などがあったほうがいいでしょうね。
2020年から開始したコロナ融資は、大量に申し込みがあったので御社の事業概要を把握しないまま融資が実行されていたと考えましょう。その為、ここは会社紹介などでつかっている内容などで記載することが無難です。
事業の強み・弱み・・・事例では、「売上の確保が課題」となっていますが、もう一歩踏み込んで書きたいですね。ほとんどの会社が売上確保は課題だからです。
記載例:「売上の確保が課題」
↓
一歩踏み込んだ内容:強みとして、海外メーカーのバイク修理を積極的に受け入れていたことで、ファンの信頼を得られている。「顧客基盤が形成されてきているが社員が少ないので時間がかかりすぎていることが課題」「新規事業の顧客基盤を決めかねている。」
などなどです。顧客基盤については、ターゲット像も具体化されているといいですね。
「事業の強み」は、事業をする上でのこだわり、お客さんに”いいね”と評価されてきたこと、などがあるはずなのでしっかり書きましょう。決め球、必殺技、得意技です。
事業の「強み」や「弱み」の分析はSWOT分析などを使って考えるものです。今回のコロナ借換保証がSWOT分析をもとめるものではないものの、強みがなんなのか改めて検討してみてください。
一歩踏みこんで書き、自社のリソースを確認し、強みをみつけることは、具体的なアクションプランで取り組み計画を書くために必要だからです。ウイズコロナでは事業内容の再構築が必須になっていることも予想されます。そうした場合、中長期的に計画を考えてることもざらです。新規事業には、十分な期間をもったプランが欲しいところです。
経営状況・財務状況・・・事例では、「資金繰りに支障をきたしている」ですが、ここも事業の立て直しを検討して書いたほうが良いですね。融資を申し込むので支障をきたしているのはわかっているのです。前回借りた資金の用途と計画があり、それと乖離しているのか、それとも順調に返せているのかなどです。
記載例:「資金繰りに支障をきたしている」
↓
一歩踏み込んだ内容:売上減少で損失がある。これに加えて、新しく(XXX)を始めようとしても事業資金が不足している。
コロナ開始時に運転資金と新規事業開始の為にXXXXを借り入れた。新規にXXX事業を始め徐々に売上は顧客はついてきているがコロナの損失をカバーするまでにいたっていない。新型コロナウイルス感染症の影響が想定以上の長引き、新規事業が軌道にのるまでにはテコ入れと時間がかかる。認知度の向上などのテコ入れのための資金が必要である。
といった具合です。「経営行動計画書」一枚で書くのは”まとめ”として使います。
事業を立て直して進めるなら、外部への協力、社員の協力を得るために説明が必要です。その際に「経営行動計画書」を使いましょう。
「経営行動計画書」で期待されるアクション
「経営行動計画書」の右下をみると、中期で考えるアクションが以下のような取組になっていると良さそうです。
・売上が増加していること(売上増加率)
・収益性が回復していること(営業利益率)
・競争力があること(労働生産性)
・返済能力が確保されていること(EBITDA有利子負債立)
・短期の安全性も高いこと(営業運転資本回転期間)
・多大な借り入れになっていないこと※(自己資本比率)
打ち上げ花火的に書くものではなく、「事業概要」「外部環境」「経営状況」から妥当な流れになっていないといけません。事例では、付帯サービスが安いのが強みだが、売上の規模が足らないという説明があるので、販売機会を増やす施策(修理時の各種パーツ販売「※」)がとられています。
※最後の自己資本比率は、これから借入を行うので多大な借入になっていないというのは難しいことですね。ただし、長期的にみても改善傾向があることが示せないといけない項目でしょう。
ご自身で書いてみたいと考えている方はぜひ問い合わせフォームからご連絡をお願いします。
事業再構築補助金などと組み合わせて挑戦できれば、軌道に乗せていける可能性がぐっと高まります。
では
※漢字がまちがっており修正しております。(2/10)
補償⇒保証でした。ご指摘ありがとうございました。