銀行口座が断られる理由?
「銀行口座を作りたいので紹介してもらえませんか?」といったことを聞かれるようになりました。どうやら、銀行や信用金庫などで「口座開設を断られた。」といった方が増えているようです。銀行の方に確認すると、犯罪行為の温床になりかねないことから、少し前から銀行での法人口座開設が難しくなったようです。詐欺事件、不法商行為のような犯罪収益を隠すために使われる可能性があることがあるからです。
銀行口座を断られた方の特徴
断られた人の多くがまずメガ銀行にいっているのも気になりますね。メガ銀行で口座を開設して信用をつけたいという気持ちはわかります。でも法律があるので、すぐには口座を作れないのはみんな同じです。むしろメガ銀行のほうがつくりにくいとおもいます。地方銀行、信用金庫も同じく作りにくい状況です。その中でも下記のようなケースの方が作りにくいですね。
1.シェアオフィス・自宅での起業
2.定款に複数事業を掲載している場合
法律の主旨からして、犯罪行為の温床になるような実体のない会社の可能性が高そうなものがあがっているようですね。だからといってシェアオフィスで起業したらだめというものではありません。銀行口座開設のために場所を借りるのはおかしな話です。
様々な理由からシェアオフィスを選択する方も多いです。シェアオフィスは登記もでき、便利な場所にあって値段も高いところがありますので、離れた場所で安く事務所を借りるよりも営業活動を踏まえてシェアオフィスを活動拠点にしている方もあります。
強力なコネクションがあって、例えば、「良く知っている支店長に声をかけて作ってもらう」というのもあまりうまくいっていません。過去はそれで良かったんですけどね。
定款に複数事業が書いてあり、免許のいる事業(職業紹介)などが書いてある場合は、免許がとれたら来てくださいといわれて断れることがあります。この場合、逆に職業紹介の申請が完了していれば口座もスムーズです。
あと外国籍の方の会社も口座が作りにくいです。世界情勢の不安によりさらに厳しくなりました。平和であることは大事ですね。外国籍の方は、ネット銀行も開設が厳しいケースがあります。
銀行口座開設を断られた時の対策
(1)ネット口座を利用する
断られた時は、ネット銀行を利用しましょう。ネット銀行で商取引の実績を作って、信用金庫さんで再度トライしましょう。口座作成には実績が必要なので、家賃の支払いや注文書などの履歴が必要と言われます。履歴を作るために口座が必要なんですけどね。
ネット銀行だと、法人口座開設は比較的簡単です。「法律どこ行ったの?」と不思議ですね。勝手な推測ですが、ネット銀行は海外取引で指定できないことがあるので、犯罪の温床になりにくということなのかもしれません。
ネット銀行を使う際に注意したいのは、日本政策金融公庫の融資返済金の引き落とし口座として日本政策金融公庫が認めてくれないことがあります。
PAYPAY銀行、GMOあおぞらのネット銀行、住信SBIネット銀行は引き落としが可能のようですので、口座作成時と公庫にご確認ください。
ネット銀行で断られたという話は聞きませんが、商取引の実績が必要なものもあるようです。”ホームページ”、”事業取引の入金”、”注文書”などです。各行に確認してください。
(2)創業融資の申し込み時に日本政策金融公庫の担当者に頼んでみる
だれでもが取れる手段ではないですが日本政策金融公庫で創業融資を申し込んで、融資を受ける場合は、紹介してもらうといいとおもいます。融資を受ける際に、日本政策金融公庫の方に一声かけてもらうのもありです。確実に口座が開設できるとはいいきれませんが、門前払いにはならないはずです。資金ニーズがあれば一考に値します。
(3)信用金庫のシェアオフィスを利用する
シェアオフィスで起業する方は、銀行が運営しているシェアオフィスに入居するという手もあります。シェアオフィスの入居条件が口座開設であるケースがあります。大阪シティー信用金庫さんなど創業者向けコワーキングスペース(ビズミックス淀屋橋)などは利用にあたって口座開設が前提になっています。シェアオフィスは、交通の利便性などで選ぶことが多いので良い場所にあればこちらも選択肢です。比較的安価に借りることができますし、信用金庫の経営相談などが充実しているので面白いと思います。
新規口座開設にはどれぐらいの時間がかかるか?
銀行さんの業務であり、個々の状況に応じて判断されているようなので、銀行口座の新規開設がどれぐらい時間がかかるかは一概には言えません。銀行さんの中での審査基準があります。
私の知っているケースで、不動産取引をされる方は、法人設立と宅建協会への申し込み(供託金の支払)と事務所開設が伴うので1か月もかからず開設できているようです。
また輸入業の方は、シェアオフィスで開業したこともあり、当初1年ぐらいかかると言われたようです。ネット銀行では海外取引に不安がありがあり、メガバンクへの申し込みを希望されていたのですが、メガバンクは全く相手にされず信用金庫さんに何社か頼んでなんとか作ってもらえました。たまたま日本政策金融公庫から融資を受けることが決まっていたのでなんとかなったようです。
メガバンクの口座の信用度は必要か?
できればメガバンクで法人口座を作りたいと言う相談もあります。メガバンクの口座開設があれば確かに箔がつくという理由です。銀行口座が保証してくることもあるかもしれませんが、一部だとおもいます。顧客ニーズと提供する価値が一致していれば顧客は振り向いてくれるので、地道な取組ですが普段の接し方で十分信用力はつきます。
融資も地元の銀行や信用金庫さんのほうが話やすいです。こちらの状況を良く分かっている銀行マンがいれば資金ニーズがあるときはほんと心強いですよね。信用金庫さんの職員さんはどこも中小企業のことをよくご存じですので、メガバンクにない安心感もあります。
銀行は様々な事情があり、口座開設の審査もいろいろです。請求書の発行も個人口座を使うなど取引先様にも理解してもらいながら進めざるを得ません。開設したい銀行の窓口にて実態のある会社であることをわかってもらうよう、上記のケースを参考に丁寧に説明してください。
大変ですが、この先の事業運営に親身なって相談できる相手先を探す気持ちでトライしてください。
2023年7月14日誤字を修正しました。(ご指摘ありがとうございます。)