市民公募委員
市民公募委員とは、市が一般から公募し、審議会や委員会に出席する構成員です。委員に市民を含めることで、行政運営に直接市民の意見を反映させる重要な市民参加の手法です。募集は意外と多く見つけやすいです。
(選考方法)
・履歴書+小論文(指定フォーマット)
・面接×1
2022年から自分の住む市の市民公募委員として2か月に一回ぐらい会議に出席していました。議題がなければ開催がありません。都市計画に関わる委員会だったので、大きな議題では、都市マスタープランなどがありました。会議の資料は市の職員の方が外部に委託し作成しているプランなので、非常にボリュームがあり目を通すのも大変でした。
途中から電子化がいきなり進んで、全部ファイルダウンロードになりました。ただし、委員はパソコン持ち込みで、市役所のネットにはつなげてもらえない状況でした。
期待していたものとのギャップ
委員会組織なのでディスカッションなど意見交換ができると期待しており、自分なりに資料を調べて会議に参加するものと思って楽しみにしていたのですが、実際にはそうした資料の説明を受けるスタイルでした。その資料も毎回結構なボリュームです。こんな80ページ以上の書類を市役所がつくっても一般市民があまり目を通さないのではと感じたことが多々あります。
行政の事業なので間違いや不正があってはならないという点では大変ですが、多様な意見をあつめるというプロセスではありません。期待していたものとはちょっと違いましたね。意見交換会はあまりやらないのかもしれません。
パブリックコメントを受け付けることもあるのですが、パブリックコメントに寄せられる質問は、見当違いなものも正直多いです。自分の地域の不満であったり、自分の活動への後援依頼であったり8割近くが的外れだったのでこうしたことになるんだと思います。
公募委員はいくらもらえるか?
公募委員は報酬を期待して参加するようなものでもないとおもいます。正確には覚えていませんが、1時間で10000円に達していなかったと記憶しています。明細を詳しくみていませんが、1回あたりの報酬であり、事前準備(資料の確認)、事前会議、本会議と割と時間はかかるので、手間のわりに収入にはなりません。
お勤めのサラリーマンにとっては地域貢献のチャンスですし、副業の一歩でもありますので知見をいかした活躍が期待される仕事だと思います。公募委員として、市役所ホームページに掲載されるので、名刺などつくって配ると知ってもらうチャンスになります。また、公募委員はテーマもいろんなものがありますので自分の専門テーマのものを決めて活動すれば報酬自体は安いかもしれませんが大きな経験値になるでしょう。企業内診断士で副業したいと思っている方は負担も少ないし、早くからスケジュール調整されるので予定もつきやすくお勧めです。
公募委員で分かったこと(市議会議員の人間模様)
公募委員では、市議会議員の人(数名)、有識者(数名)、市職員という構図です。それぞれの役割と見え隠れする利己的な部分がありカオスな状態でした。特に市議会議員さんは、個性が強めでした。
・資料の「てにをは」を丁寧に指摘する議員
・質問時に威圧的な態度をとる議員
・ネットニュースでお騒がせしていた議員
いろんな人がいすぎるので、市職員の方は防衛的になりがちです。「みんなの時間を有効に使って欲しい」、「威圧的な態度では建設的な意見は出ない」、「普段の素行が悪いと議論に集中できません」などなど「会議の基本をしっかり押さえてからはじめましょう。」と思いながら参加していました。市議会議員はちょっと変だなと思う人は落選して変わっていました。ネット環境につなぐデバイスも議員によってまちまちで、パソコンもってない議員が多いのもなんか心配になりました。パソコンが使えない議員がIT化必須の市政の業務改革に意見をすることは難しいですしね。
市役所は大きな組織なので、変わりにくいところがあると実感した2年間でした。市長選挙では改革派をうたう方がいますが、並大抵のことではないでしょうね。
中小企業診断士仕事に公募委員は効果があるか?
診断士活動の次の仕事につながる可能性はなさそうです。私は、商工会議所へ行く用事が時々あったので同じタイミングで用事を済ませていました。議員さんとは事業の話がしにくいと感じたのと、市がマスタープランなどを発注する先は、競争入札などで大手のコンサルティング会社が参入するといった構図だからです。
2年間で委員として継続してお伝えしたのは、以下の2点です。
・マスタープランの策定などは市民の規模からすると意見を反映できていない点
⇒意見を拾うプロセスを工夫して欲しい
・市民向けの説明は資料を用意するだけでなく、見てもらう工夫が必要である点
⇒説明を時代に則したものにして欲しい(動画やグラフィックスが主流)
行政でもホームページに「インフォグラフィックス(Infographics)」、「優しい日本語」など行政が伝え方を工夫している事例は増えています。ただ根本として、市長がしっかりと市民に語り掛ける発言をSNSなどですることも大事な試みと思いました。
こういった伝えるといった分野や施策であれば今後コンサルティングが入り込む余地はあるかもですね。
では