小規模事業者持続化補助金「創業枠」の準備期間はどれだけ必要?

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小規模事業者持続化補助金「創業枠」の準備期間はどれだけ必要か?

R3年度予算の小規模事業者持続化補助金は、「創業枠」が設定され、補助額の上限が大幅に引き上げられました。(通常50万円⇒200万円 補助率2/3※)
(※特定創業支援等事業終了証明書を持っている場合は100万円の期間もありました。)
さて、補助額が増えたのは大きなメリットですが、準備も必要になります。

その準備というのは、商工会議所とかでやっている特定創業支援等事業への参加です。特定創業支援等事業とは、法律に基づいた創業支援プログラムで、商工会議所では創業塾といった名前で実施されています。(ただし、創業塾でも特定創業支援等事業の対象でないものもありますのでご注意ください。)市区町村単位で実施されていて、他の市区町村でやっているものを受けても大丈夫です。例えば、大阪府箕面市の方が、大阪市の特定創業支援等事業を受けることができます。市区町村の予算でやっているので、受講を妨げるものではないと思いますが、他府県他市からの応募は申し込み段階ではじかれる可能性があります。その都市で起業することを猛烈にPRしてください。

また、結構頻繁に各機関に通わなくてはならないので移動の負担も結構あります。(2.各工程に必要な期間)食品衛生責任者の講座みたいに、E-ラーニングで受講証明書が取れれば楽ちんなのですけどね。2022年度現在ではE-ラーニングで実施しているところはなさそうです。

準備期間をざっと示すと次のような工程になります。工程は、第10回(2022年年)の12月締め切りでサンプルを作成しました。見ていただくと「創業枠」の準備には、2か月~3か月かかることがわかります。

(第11回は、2月20日締め切りなので年明けからだと厳しいので、第12回に向けた準備になります。)

長いですね。準備開始が11月(2か月をなくなるので)になれば一気にスケジュールがタイトになります。小規模事業者持続化補助金の申請書を専門家に書いてもらうような場合であっても、特定創業支援事業(※)のセミナーなどはご自身で受講しないといけないからです。

持続化工程

 

※特定創業支援事業は、「産業競争力強化法」に基づく創業プログラムです。

各工程に必要な期間

(1)特定創業支援事業証明書を受領するまでに必要な期間・・・1.5か月
1.5か月の内訳は、特定創業支援事業終了(1か月)、証明書発行手続き(2週間)です。申し込みをして、タイミングよく受講開始がスタートしても1.5か月です。その為、次回第10回の申し込みに間に合わせるなら10月中には受講開始したいですね。

・手続きする場所・・・
商工会議所、支援機関・・・・創業塾やセミナーの受講
市役所・・・・特定創業支援等事業証明書

・訪問回数・・・商工会議所、支援機関×4回以上、市役所×2回(※)
※訪問回数は目安です。起業塾などの日程が複数回に分かれています。お仕事の合間に参加できるものを選びましょう。

(2)事業支援報告書の受領に必要な期間・・・1週間~2週間
小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会議所が発行する「事業支援報告書」(様式4)が必要です。工程表では、すべての書類がそろってから商工会議所にもっていくことになります。

(1)と(2)を合わせればおおむね2か月は必要で、待ち時間が2週間追加されるだけで2か月以上余裕でかかるようになります。

(3)開催時期の課題

商工会議所や振興センターなどがやっている創業塾なので、参加すればもらえます。また、良心的な値段です(無料もあります)。
ただ、やっかいなのは不定期開催なところです。創業塾は、補助金の申請に合わせて開催しているわけではありません。その為、創業塾に申し込みたくても「開催していない」「申し込んだけど空きがない」などが発生します。実施している運営機関によりますが、専門家との面談を4回済ませれば受講完了するものもありますが、それでも1か月以上かかります。(大阪産業創造館(大阪市)は、起業していない方向けだけ、専門家の面談で終了するコースがあります。起業後の方は、セミナーの受講4回です。大阪商工会議所も専門家相談で回数をこなすことができるようです。)

西宮市は、「西宮市 特定創業支援等事業の概要」とかで検索すると対象のプログラムがでてきます。西宮市では、10月開始のプログラムがあり11月に終了予定ですので、これを逃すと特定創業支援等事業の終了証明書は難しいですね。西宮市でも、専門家相談なども特定創業支援等事業の対象になっています。ただ、申し込み方法などが明記されていません。西宮市のホームページを見ると商工会議所が窓口になっているようなので、電話で問い合わせするしかなさそうです。
最近はどこの創業塾も応募が殺到しているようです。その為、申し込んだけど残念ながら参加できないことも十分ありえます。募集開始されたら速攻申し込みしましょう。

どこの市区町村で、どんな創業塾があるか気になる方は、私が開催しているワークショップにご参加ください。ワークショップは現在、不定期開催です。お問い合わせフォームに書き込んでいただければ開催案内を送らせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

そもそも自分の事業にとって「創業枠」申請は必要か?

さて、以上のように「創業枠」を狙うには時間がかかります。補助金だけの話でいえば、200万円の補助額を必要としない起業であれば、この特定創業支援等事業の受講はそもそも不要かもしれません。補助金はお祝い金ではありません。補助金は、前払いし、後から費用の一部が補助金として、国から払われるものです。(小規模事業者持続化補助金の場合2/3)
200万円の補助金をもらうためには、先に300万円以上の支出が必要です。300万以上前払いが必要な起業であることになります。
また起業時に大きな負担となる”家賃”、”車両”、”パソコン”といった費用は補助の対象になりません。なので、使う費用項目は結構難しくなります。ホームページも使える額に制限(全体の1/4、上限50万円)があります。

「創業枠」を否定するわけではありません。ただ、使えるかどうか考えて、2か月~3か月の期間をかけてやるべきなのかどうかを今一度考えてから取り組むことをお勧めします。起業は、自分のリソースを最大限活用して取り組むものと思います。時間という貴重なリソースをかけて取り組むか今一度判断が必要ですね。

私もケースによっては「「創業枠」を狙っていきましょう。」と勧めさせていただくケースもあります。例えば、サロン起業で、美顔器(50万~80万)など高額な機器の導入を検討していたり、ケーキを提供できるカフェでの冷蔵ショーケース(20万~80万)など、”強み”がいかせる内容にもかかわらず金額的に諦めていたものがあれば、補助金を狙うようにお勧めしています。

こちらのサイトでご案内しているワークショップなどでも相談に対応させていただいていますが、創業者のほとんどが小規模事業者持続化補助金の200万は、手が出ない方が多いです。通常枠(50万円の範囲)であれば1か月で十分準備できます。詳しい方に聞いてみるべきですね。

特定創業支援等事業は、他にもメリットがあります。法人設立時の登録免許税の減免、日本政策金融公庫の創業融資の利率引き下げ、自己資金の要件緩和(融資が借りれる保証ではないです。)などですね。法人設立を視野に入れた起業であれば十分メリットがあります。また、創業塾では、地域で起業を考える人ともで会うことができます。

よくよく考えて参加することをおすすめします。