ゼブラ企業を目指そう!

相談事例

ゼブラ企業とは?

ゼブラ企業とは、社会課題の解決と持続可能な経営の両立をめざす企業の概念です。成長(市場の独占)と拡大(上場の時価総額)をめざすユニコーン企業が称賛される社会の流れに危機感を抱いたアメリカの4人の女性起業家が2017年に提唱し、メディアで紹介されるようになりました。

2024年3月1日に中小企業庁から策定公表された「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」で国の指針が示され、その後「地域の社会課題解決企業支援のためのエコシステム構築実証事業(地域実証事業)」の募集が行なわれ、先月6月に委託先20社が選定されました。こちらには実証実験の費用として、補助金の支給もある事業だったので100社近くの応募があったので狭き門ですね。

さて、2023年の閣僚会議では、地域の中小企業を中心としたゼブラ企業を多数創出し、インパクト投融資を呼びこみ地域関係者を中心としたエコシステムの構築を目指していると書かれています。

目指しているところは壮大ですね。ただ、これまでの税金を集めて事業を実施するといった事業のやり方では、行政も動きにくく手が回らないところも多々あり社会システムの維持が難しくなってきているのも確かです。営利企業による社会サービスの誕生は時代の要請かもしれません。渋沢栄一さんは数々の事業を起こし日本の経済システムの基礎をつくられましたが、社会に参加する我々が担い手になっていく時代になったのでしょう。

ビジネスを始めるのはとても敷居が低くなったと思います。インターネットで情報はすぐに手に入るし、副業で会社は作れるし、資金は少なくても(1円でも)株式会社が作れる時代です。いろんな企業がそれぞれのできるやり方で社会改善を目指すのはとても理想的な姿です。

どうやったらゼブラ企業になれるのか?

社会課題解決と持続可能な経営というと難しく聞こえますが、ほとんどの会社が利益を追求しながらも社会が良くなることに貢献しているはずです。ものづくりの会社であれば、製品を通じて、雇用創出や環境に配慮したものづくりなどより良い社会づくりに貢献していますが、ただゼブラ企業はこれらとは違うもののようです。

1.事業成長を通じてより良い社会をつくることを目的としている
2.時間、クリエイティブ、コミュニティなど、多様な力を組み合わせる必要がある
3.長期的で包括的な経営姿勢である
4.ビジョンが共有され、行動と一致している

(出展:Tokyo Zebras Unite / Zebras and Company)

1.事業成長を通じてより良い社会をつくることを目的としている

ゼブラ企業と言われている事例企業を見ると社会課題をビジネスアイデアの起点にしているものが多いです。中には、創業は別事業でスタートしているものがあるのですが、早期に社会課題と関連付けが行なわれています。

ローカル・ゼブラ起業は地域の社会課題を捉えるところからがスタート地点となりますが、これだけで終わりでなく事業活動が継続可能であること、どのように利益を生む仕組みが必要なのでなかなか難しいポイントと思います。企業なので儲かる仕組みは必須ですね。

”利益を生む”というのは、とても当たり前のポイントですが創業相談をしているとやりたいことが先行していて創業が目的化していることも結構ありますので、ゼブラ企業を目指している場合は創業前にまずビジネスモデルを固める必要があると思います。

また、地域の社会課題は地域ニーズでもあります。少子化と人口減少、貧富の差、高齢化と介護人材の不足などです。私が住んでいる西宮市は人口減少は他市と比べると人口減少の課題は緩く進んでいるようですが、文教都市として優秀な大学生が大いにも関わらず受け入れる企業がすくなく大都市に優秀な人材が流出してしまっています。流出先は、神戸市、大阪市などではなく東京です。そういった社会問題と事業を紐づけることも、理解してもらいインパクト投融資といった資金集めにはさらに丁寧な説明がいることは間違いないです。

地域課題は、地域のニーズなので、どのように拾っていくのか簡単な方法はありません。行政が把握しているわけでもなく、強い起業家精神による課題認識が必要となる場合もありますが、私は、いろんなきっかけと出会いによるものが多いと思います。個人的に危惧しているのは、多様性が尊重されつつも、名前で選ぶ進学先、就職先などで行動が一元化している社会(多様化をみとめない社会)ではこれが難しいのではないかと感じています。
一方で創業塾などではいろんなアイデアが出てくるので楽しくありますので、企業との接点や学生との接続などで新たな手法が生まれるのではないかと期待しています。

2.時間、クリエイティブ、コミュニティなど、多様な力を組み合わせる必要がある

いろんな価値観が重なり合うならこれは必須ですね。オンラインはコロナでだいぶ浸透しましたがクリエイティブな領域になるにはまだまだ時間がかかりそうです。諸外国では当たり前のようですのでそのうち日本でもいろんな関わり方を増やせると良いと思います。

ダイバーシティーはこれまで以上に重要な要素ですね。社会課題を解決するには、原体験として社会の不都合を感じている方の意見が組織の推進力になります。

ここで多様な力を組み合わせるために必要とされる組織はどんなものでしょう。縦組織、水平組織など組織論的な話も出てくるとおもいますが、組織は戦略に依存するので何をどのように推進するのかで組織形態は決まってくるでしょう。ここで重要なのは、組織を組織足らんとする為の経営理念であったり、ビジョン、ミッションといった組織の根幹部分で一体となることが要求されます。

3.長期的で包括的な経営姿勢である

包括的な経営姿勢ってあまり見たことがないのですが、様々な関係者を考慮しバランスよく調整するような姿勢をさしています。長期的でとあるので、スタークホルダーを尊重しながら、どの段階でどこまでやれるか調整する機能が必要のようです。ゼブラ企業が取り組む社会課題には時間がかかるものもあるので、タイミングによっては関係が薄くなったり濃くなったりとなりそうです。

また地域で連携することになるのでいろんな組織や人を取り込んでいけることが前提になると思います。

4.ビジョンが共有され、行動と一致している

ここでのビジョンは経営理念に近い概念で、とらえたほうがしっくりきます。「ビジョンが共有され、行動と一致している」とは基本ではありますが、多くの企業は経営理念がないか、経営理念は言葉だけになっていることもあります。
大経営者、京セラの稲盛和夫さんのお話では、経営者が自分が掲げた理念やビジョンについて自分自身が信じ切れているかといったコメントがあります。ゼブラ企業をめざす経営者には、自分が掲げた理念を信じ切れているかどうかが求められます。

ユニコーン企業であっても市場の獲得の前に世の中に何をなすかと考えられているので、理念を強くもつ部分は同じですね。経営者であれば経営理念はいろんなところで話す機会があるでしょう。ユニコーン企業は投資家、禁輸機関、株主従業員といったステークホルダーに向けて語りますが、ゼブラ企業は共有する相手がもっと広くしかも参加者の価値観が違うケースもあるので難しい部分があります。そういった方に自分が何のために事業を行っているのか信じてもらうには、自分自身が信じ切れているかが大事なんでしょう。プレゼンテーションの良し悪しできまるのではないと思います。

経営理念やビジョンはとても重要な概念ですが、なかなか定まらないので難しいテーマですね。具体的には、社会課題を設定し、経営活動の同一方向性に解決が可能かどうか、自らチェックすることがゼブラ企業に求められます。興味関心がある方は、地銀や地域の信用金庫さんなどが情報収集をされ、地域中間支援として活動されていますので、勉強会や担当者さんと話をしてビジョンをきいてもらうところからですかね。事業の説明資料なんかをつくって勉強会をするのもいいですね。

ゼブラ企業を目指す方の勉強会があれば参加しに行ってまたブログにしたいと思います。それでは!