経営指導とは?
経営指導員とは、商工会議所の職員で、事業所の会員皆様への経営相談やマル経など支援策の案内や実行をする人たちです。個人的には専門職だと思っています。経営指導員でない職員もいますが、経営指導員のみ行政から予算がついているので会議所ごとに人数がきまっています。たいてい、若手が指導員になるのを待たされ、その場合、経営指導員補などと呼称されています。
経営指導員(以下:指導員)になるには、特に資格は不要です。経営コンサルタントも資格はいりません。指導員は商工会・商工会議所の仕事で任命されないとなれないので、経営コンサルタントになるよりむずかしいです。一般的に指導員研修を2か月ほど受け(基礎1、基礎2)を受けて地域の事業者への指導を行います。現在は「経営診断基礎」といっているようです。会議所の人数によってはこの研修を受けずに指導員になる方もいます。逆のパターン(つまり指導員研修いったけど指導員にすぐになれない)もあります。指導員だからといって待遇が変わるわけではないし、やることも特に変わりません。唯一、マル経(商工会議所の融資)を審査会にあげられるのが指導員だったと思います。
指導員には、年に2回経営指導員研修が義務化されています。指導員の多くは経営については未経験者です。その為、研修を受けたといっても経営指導員も経営者と面と向かって話すことに気後れしてしまう方もいるので経営診断の基礎を学んでいるわけです。中小企業診断士の資格をもっているとこの研修は免除されます。
経営には携わっていないことも多いのですが、事業所さんと接する中で見聞きしたことを伝え、なぜそれができないか一緒に考える立場になることで支援になると思います。実際に若い経営指導員がベテランより支援事例を多く持っているなんてこともあります。コンサルタントがあるべき論を語るよりも一緒に考え伴走することで経営指導員は多くの場面で活躍されています。
理事の存在
商工会議所には、そのトップに理事という人がいます。組織の社長さんは”会頭(カイトウ)”と言われ地元の名士がなりますが、商工会議所には月に1回程度しか来ないので、実質のトップはこの理事になります。日本商工会議所、東京、大阪、神戸だとテレビとかにでているほんとによく知っている会社の社長さんが会頭を勤められていますね。
さて、この理事ですが、経営指導員から理事になるパターンと外部からくる場合があります。外部からくる人は経営者ではなかった人も中にはいます。私の場合は、市役所の職員のケースでした。市役所の中では偉い方で能力も高いのですが、市役所の方は、営利団体とは違い根本的に考え方が違うので違和感がありました。人脈や政治力はあったけど、ITやマーケティング、新規事業を考えだしたりといったことは軽視されています。リーダーシップの取り方次第ですね。
中小企業相談所長
会議所の中には、役職者として中小企業相談所長という人もいます。部長クラスといったといころです。理事などが市役所出身、外部人材であることが多いですが、相談所長は経営指導員の長で経営指導員から昇格する方が多いとおもいます。
場所によっては若い相談所長がいらっしゃいます。すごくやる気に溢れていて応援したくなります。そして人気もあります。都市部を離れると特にその傾向があります。やりがいはありますが、おそらく待遇面でやる気はあっても家計を守るためには待遇が悪く、会議所では働けないといった方がいるとおもいます。
一般に給料はあまりよくないです。転職を断念する人の多くはここがボトルネックになっています。共働きであれば家計の所得は問題ないですが、奥さんのパートにいってもらっても少ししんどいかなとおもいます。相談所長になれば700万ぐらいの年収があるとおもいますが、課長職ぐらいだと600万円を切ると思います。
キャリアパス
キャリアパスとなると順当に行けば、経営指導員⇒主任⇒係長⇒課長職⇒中小企業相談所長⇒理事といった感じです。小さい組織なので主任がなかったり、係長が無かったりします。私がいたところは係長がなかったですね。給与原資※も限られていますので、キャリアアップせず途中でとまる、もしくは経営指導員のままという方もいます。私も5年ほどいましたが、主任どまりでした。私が遅いだけですけどね。
※都道府県から職員の人件費補助があります。(県⇒商工会議所or商工会)
そもそもポストも限られていますので、士業の資格取得をめざしながらいずれは独立するなどのつもりで入るというキャリアデザインが商工会議所・商工会への就職するのがいまどきのキャリアパスかもしれません。
ただ、いろんなキャリアパスがあります。知っている範囲でいうと、県会議員、県・市役所職員、民間企業など様々です。県会議員は驚きました。
出世は、収入面では大事な話ですが、収入面はさておき、商工会議所で生涯、いち経営指導員としてやり抜く方もいらっしゃいます。事業者さんとの関係を強化しながら事業に貢献し、自分の仕事にできるなら面白いし遣り甲斐のある仕事だと思います。
最近の傾向として離職者も結構あります。安定職種のようですが収入も低めに加えて、組織なのでいろいろとあるのです。
退職後は人それぞれです。先ほど書きました”県会議員”は別として、指導員時代に懇意にしていた地元の中小企業に就職したり、人材紹介会社経由で別の会社に移ったりと様々です。
給料は低かったのですが休みもあったので、悪くはなかったです。私も転職のお声がけがなかったら残っていたかもしれませんね。