事業性融資推進法とは?気になる事業性融資促進法と「認定支援機関」の役割

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事業性融資推進法とは?

令和6年3月に金融庁から事業性融資の推進等に関する法案の概要が発表されました。事業性融資では、企業の技術力などの無形の経営資産に基づいた収益性に企業価値担保権を設定し融資することが考えられています。言い換えると企業の成長性や技術力といった企業価値をもとに融資を実施する制度で、現在制度化に向けて議論が開始されています。どんな制度設計になるかこれからのようですが、スタートアップや経営者保証により思い切った経営ができない会社、事業を再生中の会社など、担保資産が不足する企業へ実資産だけでなく、事業性を評価して融資を促す仕組みになるようです。中小企業支援をする側にとっても踏み込んだ支援ができるので、注目しているテーマです。

事業性融資は企業を成長させるチャンスだとおもいますが、一方で債権者保護がしっかりできていないと緩い制度にみえるし、借りる側のモラルがなくなります。説明資料によると、企業価値担保権信託会社という組織が誕生するので、無形の企業価値に担保が設定され、何かあった場合は担保権の実行ができるということになっているようです。最終的にはスポンサー企業へ譲渡されるようなことが伺えますので、そこで債権が回収されはず。企業価値担保権信託会社は主に銀行がなるので、慎重に行うとは思いますが無形資産を言葉にすることも難しいし、担保権を設定したとしも、譲渡を出口にして受け入れ企業を探すといった形でしょう。専門の会社もでてくるのかなと思います。

実際に企業価値がある会社が倒産してしまえば、そこにあった無形資産や技術もなくなってしまう可能性もあるので、事業継続をはかりながらスポンサー企業へ譲渡をしていくなどして融資を回収するといったスキームは面白いですが、これからでしょうね。

この際に、企業にどのような経営資源があり、経営の実態を把握し、モニタリングする機能、また企業側には企業価値担権を活用した資金調達ができるようになるなど知ってもらう活動も必要になってくるでしょう。

この経営の実態を把握するための助言は経営資源がある会社の経営実態の把握は認定支援機関が担うことになるようですが、古い融資審査の固定観念に引きずられて。知的財産経営などスキームがあるのでこちらをつかった支援を想定していますが書きようはいくらでもといった印象もあります。

たね先生
たね先生

ガンダム風にいうと「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的差ではないということを教えてやる」といった感じでしょうか。目に見える資源だけで、経営の良し悪しがきまるわけではない。

事業性融資の支援にも認定支援機関が関与する?

事業性融資の為に金融機関や中小企業を支援するのが認定支援機関となっています。そもそも認定支援機関は、中小企業を支援する機関として、専門的知識や実務経験が一定レベル以上あるものとして国の認定を受けた機関です。

今回の事業性融資もいろんな士業が絡んできそうですが、金融機関出身の融資の専門家が活躍しそうですね。中小企業診断士だと「知的資産経営」を良くやっている方なんかが取り組みやすいのかなと期待しています。

中小企業診断士は認定支援機関になるべき?

中小企業診断士でも認定支援機関の登録は可能です。無料なのでなっておいても損はないです。ただし、支援実績がない認定支援機関には取り下げなどもありえます。増えすぎてますからね。
ただし、今後も認定支援機関を中心とした支援制度は出てくると思いますので仕事のきっかけはつかめます。持っている資格によって、申請する書類が違うのですが、中小企業診断士は資格証と決算書で申請が可能です。

私もコロナの時に、申請して認定を受けました。私が申請したのは、お客様より事業再構築補助金を予定していたことがきっかけです。コロナ禍で登場した「事業再構築補助金」では認定支援機関の伴走支援が必要だったので、登録する専門家が多くあったとおもいます。個人的に認定支援機関を持っているという理由で得られたメリットは、事業再構築補助金の申請が何件かできたことですね。

中小機構さんがやっている認定支援機関向けのセミナーも実践的で面白そうです。ただ、受講日数が長いので中々参加できませんが、中小企業診断士としては魅力的です。

信頼性の向上、事業機会の拡大、ネットワークの確立、情報アクセス、専門性の強化、差別化と競争優位などなどありますが、認定支援機関と中小企業診断士ってのは結構いますので差別化には役に立ちません。むしろ、他士業もできるということですので競合は増えるばかりですね。