新型コロナ対策資本性劣後ローンの進め方

相談事例

「コロナ資金繰り支援継続プログラム」とは?

少し前になりますが、中小企業の資金繰りを強化する為、「コロナ資金繰り支援継続プログラム」というのがでています。新型コロナの影響がまだ残っている中小企業が多いため支援プログラムとして打ち出されました。
・「日本公庫のスーパー低利融資」の受付期間延長(3月末⇒9月末)
・「日本公庫の資本性劣後ローン」の申込期限の延長(3月末⇒9月末)
・「セーフティネット貸付」の申込期限の延長(3月末⇒9月末)
・「セーフティネット4号」の申込期限の延長(2023年6月末)終了済み
・「スタートアップ創出促進保証」の開始(3月15日受付開始)

期限の終わってしまっているものもありますが、9月末までのものが多いので、相談する方がいない場合は認定支援機関と早めに相談していきましょう。厳しい状況でも早めの相談で打開策がみつかることもあります。

「日本公庫の資本性劣後ローン」の進め方

まず”劣後ローン”とは、他のローンより公庫からの返済順位を下げる(劣後させる)ものです。返済順位がさがることで、資本金と同程度の扱いになり他の金融機関からの新規借り入れにつなげていくことができます。
返済順位が下がるだけでなく、利息も抑えることができます。実際には、2段階になっていて、決算期ごとに利益が出ていれば”高い利息”、赤字の時は”低い利息”となります。
資本性劣後ローンの交渉はハードものになるとは思います。ただし、人に任せず経営者自ら進めていきましょう。ハードな交渉になる理由は、日本政策金融公庫に”資本性劣後ローン”を申し込みにいっても、金融機関からの新規借り入れも準備しないといけないからです。つまり、日本政策金融公庫へ”資本性劣後ローン”を相談にいきつつ、同時並行で新たな借入の交渉を他の金融機関と進めないといけないということです。準備せずに行くと「新たな資金調達の目途が立ってから相談にきてくださいね。」と言われてしまう。
こちらの新規借入をお願いできる金融機関を見つけるところからというのが交渉の難しさです。資本性劣後ローンは、他金融機関からの新規借入の金額の多い少ないは問わないようですので、交渉の進め方次第だと思います。

まずは、返済計画や収支予測を立てましょう。日本政策金融公庫の書式ダウンロードページに「事業計画書(新型コロナ対策資本性劣後ローン用)」という書式がありますので、この事業計画書の内容は押さえておきましょう。

https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/shihonseiretsugo.pdf

こちらをみると「4.事業の継続・発展を図るために必要な資金」の右側に民間からの借入を具体的に書くことになっています。資料右の「5 業績推移と今後の計画」で将来の収支計画をたてることになるのですが数値の羅列でなく、各期の具体的なアクションプランを別途用意したほうがいいですね。アクションプランとは、「売上アップのために何をするか?」「利益率アップのために何をするか?」「費用削減のために何をするか?」です。単純に右肩あがりの数値計画というより、アクションプランと紐づいた計画を立てていきましょう。整合性が取れている計画でその経営者が実施できそうだなと思えるようプランであることが大事です。

事例では、人材紹介のマッチングアプリの利用が増えると予想していますが、マッチングアプリの利用者の増やし方について詳細に触れておいたほうがいいでしょう。例えば、人手不足でこまっている飲食業界に対して、曜日や時間単位で仕事を募集することができる機能を追加することで、潜在人材の獲得ができるようにして支持を獲得するなどです。

返済計画も劣後部分は時期をずらせるので資金的な余裕は出てくると思います。

認定支援機関の支援を受けて進めることもできるので、数値経過を含めアクションプランも一緒に考えましょう。

「日本公庫の資本性劣後ローン」でやってはいけないこと

経営者が計画作りを丸投げするような姿勢が感じられれば、劣後ローンの申し込みは正直厳しいと思います。たとえ、認定支援機関に協力を依頼したとしても責任は経営者にあります。計画書づくりも、交渉も時間がかかることが予想されます。期限も迫ってきておりますので早めの相談をしていきましょう。