商工会議所や支援機関への転職について

相談事例

転職先としての商工会議所

42歳の時に、初めての転職をしました。転職先は商工会議所です。給与が下がる覚悟の上の転職で、正直年収が下がりすぎるので周りから「大丈夫か?」とすごく心配されました。
ただ、当時、子供がまだ小さかったこともあり、「子育てに参加しながら自分のペースで仕事していけるかな?」と淡い期待をもち、「地域支援を自分なりになってみたい。」と思い支援の現場に飛び込みました。貯蓄もあったので、資格を使った仕事をしたいという気持ちもありました。資格は38歳の時に中小企業診断士を取得しています。試験は3年ほどかかっているので一般的な時間ですかね。

(転職前の状況)

転職する1年前(2013年)に当時勤務していた会社が合併して、仕事が大きく変わり(人事⇒システムエンジニア)、厳しい現場の仕事へ投入されました。もともとシステムエンジニアで仕事もしていたので、スキル的にはやれる仕事でした。久しぶりの現場では、要件ヒアリングなどをしていたのですがお客さんの協力関係をもらうのに気を使い、会社に持ち帰って仕様書を書いて、工数計算をするなど遅々として進まない作業を丸投げされていました。要件定義だけで、社員に体調不良者がでていた案件だったので、やばいなと思っていたのですが、案の定やばい仕事でした。唯一話をしてくれる方は、直前から体調がすぐれずお休みがちだたし、先方が作った説明書へ細かい質問をするとへそを曲げてしまう社員さんがいて、気が重かったですね。
顧客は1部上場の会社だったのですが、ほんと気が重かったですね。絵にかいたようなデスマーチでした。

(転職情報の入手「商工会議所の求人情報はどこから?」)

さて、商工会議所の求人情報は、リクルートキャリアを見て知りました。ちょうど年末だったとおもいます。リクルートキャリアは登録をしていて、このころはほんとよく見ていました。転職先の商工会議所は、高齢化のため年度末をもって退職をする方があるということで、計画的な補充だったようです。(実際、私はベテランさんが辞めた後の補充人員でした。)

タイミングもあると思います。3月末退職でという職員さんも多いのか、急な補充というより年度末から選考を始めるような採用活動です。そういえば、新卒採用もやっているところがあるので欠員と補充がある程度読める環境にあるようです。

経営指導員の方の話を聞いてるとハローワーク求人からも採用があるようです。また兵庫県だけかもしれませんが、リーマンショック時の氷河期世代を有期契約社員として雇用する採用促進事業がありそこから入った方もいるようです。確かに若い人でアルバイトから入った方がいました。

(商工会議所の試験)

履歴書と業務経歴書をみていただき(書類審査)、ペーパーテストに呼ばれました。ペーパーテストは、”選択式のビジネス基礎を問うもの”と”論文”でした。それに面接があったと記憶しています。テストで覚えている項目は、「差込印刷とは?」みたいなものから、エクセルのショートカットキーみたいな基本的な使い方みたいなのが出たのを記憶しています。論文は、起業支援について思うところみたいなものです。正直どんなレベルをもとめとるんだろうと不安になりました。
テストは午前中1回で済ました。面接官は、理事、副理事、相談所長という役所の方です。面接も1回だけです。印象は、「ザ・お役所!」でした。短い時間だったにも関わらず論文はしっかり読んでいただいていたのがわかりました。

面接試験

さて面接ですが何を聞かれたかですが、志望動機と資格について聞かれました。志望動機は試験内容とも被っていたので地域で働いてみたいと思ったことを率直に伝えました。商工会議所が開催していたイベント(酒蔵のお祭りと洋菓子のイベント)にも参加したことがあり興味を持っていたことを伝えています。商工会議所のホームページやFacebookページなどを確認しておいた方がいいでしょう。

資格については運転免許証はもっているか確認されました。どうやら巡回と言って事業所に訪問することがあるので必須だったようです。以前、採用した職員が運転免許取るといって採用したものの、採用後取らなくて問題になっていたという特殊事情のようです。

商工会や商工会議所は、公共交通機関がない場所にもあるので、運転免許は必須と思った方がいいです。

(「その他」の商工会・商工会議所の求人情報)

商工会:リクルートキャリアなどでもみましたが、商工会連合会のホームページでの募集、SNS(facebookでよく見ます)、中小企業診断士協会からのDMで求人情報が送られてきます。大阪の診断協会は割と商工会議所の採用情報が結構とどきます。
私が見た範囲では、商工会は求人情報に年齢制限がついていることが多かったです。(35歳までだった)商工会は、兵庫県商工会連合会というところで採用されると、その対応エリアでの転勤があります。転勤があれば職場の人間関係が硬直化しないので良いなとおもったことがあります。ただし、転勤により地域との交流(事業者さんと離れる)が切れてしまうので、それはそれでもったいない点でもあります。
別の商工会議所からも内定をいただいたのですが、どちらもリクルートキャリアです。リクルートキャリアのずっと前は、ハローワークで求人をだしたことがあったみたいなので、その時々の予算で決めているといっていいでしょう。いずれにしてもアンテナをはっていないと得られませんね。人材紹介会社に、就職希望があれば求人情報が過去にあったか聞いてみると良いと思います。

商工会議所に採用されるには?

「中小企業診断士だから採用される」とは限らないようです。商工会議所によっては募集要項に「中小企業診断士」と書かれているところはあります。即戦力を期待しているようです。例えば、融資支援や補助金のアドバイスなど数が多いところは特に資格をもとめるところがあります。ただし、その場合は、実績のある中小企業診断士と少ない採用枠を争うことになります。

中小企業診断士を求めている商工会議所ですと、支援実績があったほうが良いと思います。資金繰りの相談があったので一緒に調べてみたり、補助金の情報を一緒に調べて取り組みを促したとかあればいいですね。

商業関係の事業所も会員で多いので、民間企業の経験も活かせると思います。その為、信用金庫の出身者も割と多いです。あとはWEB制作会社などですね。金融機関出身は融資などで重宝されます。WEB制作だとちょっと給与体系があわないかもしれません。

支援策を提案していくのは、情報があればできることですので、事業所の課題を聞いてあげることができるかどうかが面接などで確認されるのかなと思います。傾聴の姿勢の有無です。また、自分の考えを押し付けるそぶりがあれば難しいのかもしれません。これは私の個人的な見解です。

あと気になるのは年齢制限ですね。私は40代を募集しているところに応募をしましたが、やや年齢はオーバーしてても採用されました。組織の考え方にもよりますね。

(処遇待遇)

処遇・待遇ですが、前職から給与が4割減少しました。貯金が一気に減っていくことに不安を感じながら1年を過ごしました。前職はシステムエンジニア(一応役職ついてたし)ですし、仕方ないですよね。ただし、商工会議所内部でも役職がつけばそれなりに回復しそうだったので、3年ぐらいは辛抱しようとおもっていました。2年目に役職がついて、すこしずつ上がっていきそうであることが感じてほっとしたのを覚えています。

資格(中小企業診断士)を持っているからと言って、優遇されたことはまったくありません。経営指導員になるには、基礎1、基礎2というそれぞれ30日ぐらいの経営指導員としての実務を学ぶ研修(中小企業大学校での合宿)があるのですが、診断士は免除されます。また、経営指導員は年に2回以上、指導員研修が義務付けられているのですが、それも免除でした。
2か月給与もらって、勉強できるならむしろ行きたかったので、免除されたというより行かせてもらえなかったといったほうがいいかもしれません。組織にとっても中小企業診断士資格保有者は、教育に出さなくても良いというメリットもあるので少し優遇してもらってもいいのにと思うところはあります。
※脇道にそれますが、指導員の研修(基礎1、基礎2)は、ほんと楽しいらしく、商工会議所へ戻るのが嫌といういう人が結構いるみたいですね。

勤務時間:8:45ー17:30
(週休2日)
ただし、簿記検定や祭りやイベントの準備などがあって、休みの日にでないといけないときはあります。振替休日もあるのでブラックではないです。経営指導する立場でブラックになってたらだめですもんね。それと賞与もありました。(2.2か月分)

待遇ですが、私がいっていた商工会議所は地方の職員が20名満たないところですので、自主財源が無いため待遇はこんな感じですが、京都や大阪は話をきいているともっと良さそうです。(隣の芝は青く見えるものですけどね)

一番、羨ましいなとおもったのは、副業が解禁されているところでした。給与水準が低いならせめて副業をしたかったのですが認められていませんでした。
私がいたところは、理事や専務理事が市役所出身なので、市役所と同じルールで運用していたからではないかと思います。その組織にあった運営方法があると思うのですが、転職するまで理解をしてもらえませんでしたね。

中小企業診断士を持っていたのでそのまま独立という手段もあったと思います。ただ私の場合、システム開発などはできるものの起業支援やコンサルティングなどはできる自信がなかったので商工会議所の仕事は修行とおもって割り切りました。
ただし、商工会議所の職員の給与はとても安いので、生活のことを考えると思いとどまる人も多いと思います。その点は、家族の理解がないと難しいですね。

経営指導員の仲間

5年ほど商工会議所の勤務をしていましたが、その中で、中小企業支援をしっかりとやりたいと思う経営指導員と交流が持てたのはいまでも私の財産です。そんな人たちは、ほんとに地域資源をよくわかっていらっしゃって、施策はお金をかけなくてもいいものを実行されます。セーフティーネットとして機能し、困っている事業者を救えている事例は多くあります。

私がいたところの中心は、酒蔵やスイーツなどに力をいれていてイベントは面白いのですが、他の都市でもやっている金太郎飴的だったし、良い効果を得られる業種が一部に限定されている気がして、悶々としていました。そういう時に、別の会議所の方によく相談にのってもらったり、いい支援情報を送ってくれるのでほんと嬉しかったです。
いま、補助金の情報をいち早くくれるのは、このネットワークです。

商工会議所の仕事内容

商工会議所で何をしていたかというと、主に、経営相談(巡回)、融資相談(マル経融資)、共済の販売、補助事業実施、試験開催、貿易証明などなど多数あります。簿記試験もありますが、私は、経営相談(巡回)と補助事業の実施を中心にやっていました。貿易実務はまったくやってません。

<経営相談(巡回)>
会員事業所に訪問し、困っていることがないか確認します。セミナー開催予定があれば情報提供をします。一番喜ばれるのは補助金の情報ですね。アフターコロナでは、飛び込みの巡回訪問はできなくなっていると思います。
経営相談実務が初めてだったので、最初はメモをとって聴いて、相槌するのが精一杯でした。製樽屋さんで2時間話を聞きました。気性の荒い人だったのでほんと気を使いました。
アポイントをとって、行った先がもと会頭(商工会議所の偉い人=地元の名士)だったことがあり、あとあと商工会議所の専務や相談所長に失礼がなかったか詰問されたことがあります。
(巡回したらダメなところがあるなら先にいってよ。)
経営相談は、専門家とも同行することが多かったです。(無料の専門家相談)専門家がどんなふうに対応しているのか生で見れたので、ここで多くの経験値を積ませてもらいました。
経営革新計画は実績のある先生と一緒に指導方法を学んだ方がいいですもんね。これが無ければ資料をみて自分で勉強するしかないです。

会員入会がノルマみたいになっていたので、まったく縁のないところにも行きました。いわゆる飛び込み営業でしたね。転職しなければこの経験は一生することなかったと思います。飛び込んだ先で、めっちゃ不審に思われたことは数回あります。

<共済の販売>
共済の販売もノルマがありました。共済は、労災保険の上乗せ部分みたいなもので、保険会社といっしょになって販売して回ります。営業経験はなかったのですが、そこそこ売れました(ノルマはだいたいクリアしてたとおもう。)。
やらんでもいいかなとおもったのですが、なんでもいいですが売れると楽しいもんです。

業務内容については、商工会議所をみるとだいたいやることが書かれています。ほんといろいろやらなくちゃいけません。

商工会議所の働きやすさ

商工会議所は入る前はゆるーいイメージがありました。入ってみて思ったのは、時代遅れそのもの。紙の文化が残っていてIT化を叫ぶも一番の反対勢力はトップが変わらないことでした。事業者の指導をするのに違和感を持つシーンも多々あります。

ただ、組織の変なところはどこにでもあります。その程度は大きいか小さいかで、居心地はかわります。私には耐えられたものの2年で辞めていく人もいれば、そこには長いこと勤めている人もいます。隣の商工会議所は良く見えたりしました。私にとっては商工会は経営指導をしっかりして楽しく見えていました。一方で、私がいるところよりも待遇が悪く厳しい環境もあるのは事実です。

これは、転職全般に言えることですが。外からはわかりにくいということです。退職者が多かったり、勤続年数が極端に低かったりといった指標がありますが、なかなか教えてくれません。私がいいなぁと思ってたよその商工会議所は、情報発信がしっかりできていて、経営指導員の方の顔が見えていたところです。ホームページはしっかりあるけど、指導員の活躍が見えにくいとか、そもそも情報が発信されていないなどは活動がされていないケースがあり、地元からも期待されていないケースがあります。

地元就職などで考えていらっしゃるのであれば知人を頼って情報取集をすることをお勧めします。

商工会議所は診断士業務に役に立つか?

キラーコンテンツがあって、行政機関の経営相談をするつもりはないという中小企業診断士の方には不要です。ただ、経営相談はどこでもやっている業務で診断士の仕事として紹介されることが多い分野です。なので、経営相談もやっていこうと考えていれば、給与面の不安がなんとかなれば一考に値します。

一番良かったのは、補助金などの申請と情報収集は結構得意になりました。いまの職場もまわりに診断士が多い職場ですが、補助金の件では質問を多く受けるし情報も割と早く入手してきているので貢献できていると思います。

また融資も担当できたので銀行員ほどではないですが融資制度もわかるようになったのは良かったですね。支援機関ごとの特徴や再生支援協議会(活性化協議会)などもどんなところかわかったので、落ち着いて対応ができるようになりました。

私の場合、診断協会にはいり勉強会なんかに参加していたのですが、積極的に参加していなかったからか、あのままやっていても診断士実務に入る機会はまずなかったでしょう。その為、回り道だったかもしれませんが、商工会議所で勤務した経験はとても良かったとおもいます。

人によっては、一般企業に勤務しながら中小企業への支援実務についている人がいるので、その道もあるとおもいます。ただ、その道が私には見つけられませんでした。診断士なりたての人に、相談を受けることがありますが、実際、悩んでいる方は多いです。副業で仕事をしながら受けられる相談実務はそれほど数は多くなく、SNSなどで対応実績を投稿している例は一部だと思います。大手企業にいて、土日は診断士活動という例はみんなができることではありません。
知り合いの企業内診断士に相談を受けることがありますが、実務ポイントに繋がるものは、いくつかお渡しできるものの、そんなにボリュームはないです。

経営相談で一番多いのは、販路開拓と融資です。お金のない中で、販路をみつける相談はやってて楽しかったし、融資業務はシステムエンジニアでは経験できなかったものです。まだまだ知識や経験は必要とおもいますが、商工会議所の業務は修行と思えばほんと良い経験だったなと思います。

42歳でリスタートしたわけで、なんとかやってこれた自信にもなりました。成功者では決してありませんが、中小企業診断士として最低限のサービスを提供できるようになれたのは、私の場合商工会議所勤務があったからです。これがどんな人にも通用するルートでないことはわかります。ただし、商工会議所勤務を検討されている方にとって、なんからの情報になれれば幸いです。

 

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