中小企業診断士の資格で副業する方法(企業内診断士の副業事情)

相談事例

中小企業診断士の資格取得後(副業の方法を探す)

中小企業診断士の資格取得後、せっかく苦労して得た資格なので活用をしたい(稼ぎたい)という人は結構います。私も給料がさがっていたのと、サラリーマン生活が安住の地ではないと思っていたので、同じ思い(副業で稼ぎたい)でいた時期があります。
私が知っている範囲とこれまで友人などのやっている中小企業診断士、特に企業内診断士の方※の副業活動をまとめてみました。会社で給料が上がる仕組みがないのは残念ですが、副業ができるのはいいことなのかもしれません。資格更新の為に実務ポイントがいるので、なんかしら診断士として仕事をしないとと焦っていた時期もあります。(5年間なんてすぐですもんね。)

※中には、純粋に資格を地域貢献に使っている人もいます。

ヒアリングまとめ

副業のパターンは、補助金の申請、支援機関の経営相談、顧問獲得、業務委託で参画、診断協会からの仕事ぐらいでしょうか?勤め先の会社の資金で新会社設立なんていうウルトラCもありましたが、だれでもできるようなものではないので割愛します。

補助金申請の獲得

補助金申請申請は、知り合い診断士からの紹介、プラットフォームからの依頼、自ら営業するといった方法があります。聞いた中では断トツで多かったです。診断士の理論更新研修で、企業内診断士だけど補助金申請はやっていますという人は割といました。

1.知り合い診断士からの紹介

独立している診断士などから依頼があります。”など”としたのは診断士に限らず税理士や社労士、WEB関係の仕事のようなフリーランスからの依頼があるからです。交流関係が広い人がうまくやっています。個人的には、色んな士業と連携できることができるのは、中小企業診断士の最大の強みではないかと思います。他士業の専門領域に侵入することはないことやいろんなバックボーンをもっている人が多いのでほんといろいろ繋がります。

私は補助金申請は、あまりやらないのですがWEB関係の仕事をしている人から依頼される仕事が多いですね。私に依頼するWEB関係の人も事情があります。それは、WEB関係者のお客さんが創業直後で、資金に余裕がなく、補助金取れたらホームページ(※)を発注するというケースです。そういった紹介の場合、私のほうも有料で仕事をうけるのは難しい状況にあります。成功報酬にしてもあまりいただけません。その為、簡単なサンプルをお渡しして、その方に、考えてもらい添削するという形にさせてもらっています。最近は、AIもあるので添削も簡単でいいですね。
(※)最近、ホームページ制作の補助金はあまりないので、WEB制作の会社からの依頼は随分減りました。

では、どこで独立した士業と出会うかですよね。私は資格取得後は協会の勉強会にいったり、イベントで参加することで知り合いを増やしていきました。最近は協会の勉強会にいけてませんが、Facebookなどで知り合いを増やして、仲良くなりたい人が参加しているところに参加してみることで徐々に少しずつ増やしました。結局、ランニングが好きだったので診断士の知り合いは、ランニングで増やしました。ただ、診断士からの仕事は結局あまりこなかったですね。むしろこちらからお願いすることのほうが多いです。

パソコンが不慣れだったり、事業計画を立てたことが無い事業者さんは多いので誰かに頼みたいと思っている方は割と多いです。営業すれば顧客は取れます。怖いのは、一見さんはやりにくく金払いも良くないかたもあるので注意しましょう。先払いにするなど対策は必要です。

独立前ですが、「ものづくり補助金」の依頼があって、素案(80%ぐらい)を作ったものを持って詳細を詰めるためにお伺いしたらやりたいことが変わったので依頼しませんと言われ時間が無駄になったことがあります。その後、その会社は素案と同じような内容で申請し採択されているのを採択結果で見ました。

知らないところからくるとどんな依頼が来るかわからないので、依頼内容は精査したほうがいいですね。後、依頼料金は別のブログを書いているので参考にしてください。

2.プラットフォームからの依頼

友人から聞いた事例です。友人は大塚商会さんからの依頼を受けているようです。他にもあると思いますが、大塚商会は、企業内診断士が立ち上げたサービス会社があるらしく、そこが仕事をくれるそうです。私も経営診断のメールがたまにきていますので応募すれば時々仕事はもらえるかもしれません。(商工会議所に在籍していたらこっそりやっていたかも。)他にも有料のプラットフォームがあります。月額で何万円か利用料がかかるもので、作成方法のアドバイスも受けられる仕組みのようです。(便利な世の中になりましたね。)

大塚商会さんの依頼の場合、補助事業の経費を大塚商会さんで使う(購入するような)ケースもあるようです。精算報告などもややこしいので、補助金の仕組みを知っているところとやるのはいいと思います。また、会社を通すので依頼先もちゃんとしたところが多いのが良いですね。

あと、噂だけですがランサーズやココナラとかでも受けることはできるのではないでしょうか?ただ、ランサーズやココナラで補助金申請の依頼先を探す人がどれほどいるのかはわかりません。少数派だと思います。

3.自ら営業する

直接依頼を受けるものです。仲の良い事業所さんから依頼を受けたのが初めてでしたが、私も最初は「こんな補助金あるけどやってみます?私も勉強がてら書いてみたいと思っていたのですが、、、。」といった感じで営業してみました。採択されなかった時の気まずさがあるので、ストレスたまります。なのですぐに辞めました。こっそりやっていたので、営業もあまりうまくいかなかったですね。

4.補助金の仕事を始める前の注意事項

最初に仕事を受けるのであればどこからか採択されたサンプルは入手しておきたいですね。ミラサポのページに”虎の巻”というコーナーがあり、採択事例も掲載されているのでそれを参考にすることをお勧めします。確か、小規模事業者持続化補助金とものづくり補助金、それぞれ虎の巻があったと思います。事業再構築補助金もあったのですが、最近見たら無くなってました。私は、商工会議所で働いていた時にある程度、採択されたケースも見ていたし、自分が添削したものが採択される確率も高くなったので、自信がつきました。
後、独立診断士は補助金の仕事はあまり良く思っていない先生もいらっしゃって表立って仕事ができません。研究会で補助金の話をしていたら諫められたことがあります。

5.お勧め
大阪府がやっている「新事業展開テイクオフ補助金」は、伴走支援がセットになっています。伴走支援先として申請してもらい採択されると大阪府から伴走支援の資金として月額4万円が払われます。事業所の負担が無いので営業しやすいですね。つまりコンサルタント料金は、大阪府が払ってくれるというものです。詳しくはWEBで検索してみてくださいね。採択のお手伝いは低額でやらせてもらって、伴走う支援を獲得するというものです。ちなみに伴走支援は決まりがあって、月に2回程度、補助事業期間に20回支援活動をするなど決まりがありました。採択率はとても低いですけどね。

令和6年になってから補助金がだいぶ減りました。5月末に補助金中心のコンサルティング会社が倒産する驚きのニュースがあり、潮目がかわったのかなと感じております。小規模事業者持続化補助金にしても形式要件で落ちるケースが多発しており一生懸命フォローしても採択されていないといったケースもあります。カタログ形式の補助金も増えましたし、どんな時にこんなのがありますといったスタンスでサポートする形が好ましいのかなと思います。補助金でコンサルティング費用を請求するのはむずかしいですけどね。

補助金のプラットフォームに登録して仕事をもらう場合、登録料金がかかるケースは回収ができるかどうかよくよく考えないといけませんね。何もないところから補助金の仕事をうけるのは難しいですので有効かと思いますが、外部環境が変化していますので先々を見極めたいところです。

商工会・商工会議所など支援機関の仕事

支援機関の仕事は、登録専門家になって事業所さんの相談対応するパターンと講師として呼ばれるパターンの2つがあります。相談は、さらに会議所などで行う場合と事業所に訪問する場合があります。

(1)専門家登録について

専門家募集については応募しまくるしか戦略がありません。応募書類と面接などがセットなどで、探して応募してください。ポイントは、専門性と支援事例を作ることです。専門性はまだしも、支援事例が欲しいから支援機関の仕事に行きたいのですがこれが難しい。

応募しまくるとは言いましたが、診断士らしく”強み”を作って攻めましょう。武器になるのが専門性です。マーケティング戦略などの専門家では、幅が広いので分野を絞ります。例えば、業種で絞るなら飲食店のWEB活用、製造業の人材採用戦略といったものです。中小企業の課題を想像しながら自分の得意分野を絞り込んでいきましょう。IT系の要素があったりすると評価高い気がします。ただシステムエンジニア職よりもWEBマーケティングのほうが受けはいいです。

外部環境の機会に強みをぶつけるのはSWOTのフォーマット通りですね。中小企業の課題は、事業承継、集客、販路拡大などです。白書などを読んで情報収集しましょう。事業継続力強化計画などもいいですね。

注意事項として、補助金の申請を支援事例と思われがちですが、商工会議所・商工会以外の支援機関、例えば、よろず支援拠点や振興センターは補助金申請は支援事例にはとってもらえません。むしろ補助金の専門家と思われてしまうと経営相談にも呼ばれません。

補助金の支援は採択されると嬉しいものですが、むしろ支援した先が、補助金の採択後に販路が拡大したり課題が解決したことをPRすることが重要です。

支援機関の経営相談では、専門性のPR、例えば、資金繰り、販路開拓、生産管理、組織開発、ITなどがPRできるようにしておきたいです。企業内の仕事で人に役立つ分野があるので研究会などで磨きをかけ、知り合いを増やし、応募をし続けるといった感じです。

兵庫県の専門家、神戸商工会議所のエキスパート、大阪商工会議所のエキスパートなど定期的に募集をしている専門家の登録制度があります。下記は参考です。新聞広告にものっているのを列挙しました。それぞれ有名なので申込は多いですよ。

<支援機関の募集時期>
・中小機構アドバイザー
メジャーなところでは、中小機構アドバイザーなどですね。毎年のように募集されています。募集時期は年度末から年明けにかけてです。

・よろず支援拠点(各地)のコーディネーター
https://yorozu.smrj.go.jp/recruit/
各地のコーディネーターの募集状況が掲載されています。各地のよろずは診断協会にも情報がながれています。チーフコーディネーターが人選をしている可能性もありますので、診断協会で人脈づくりをしておくといいでしょうね。(なんか昭和なかんじですけど)

・大阪商工会議所エキスパート登録
専門家登録制度がホームページから申し込みができるようになっていますが、募集中になっているのを見たことがないですが、一応リンクを貼っておきます。
https://www.osaka.cci.or.jp/Jigyou/expert/expert.html

・ひょうご産業活性化センター
経営専門家派遣事業は毎年4月ぐらいに募集があります。確か診断協会のメーリングリストで募集があります。高度化事業というのもあり私はそちらに応募しました。

・商工会、振興センター
商工会は専門家を募集をしているのは見たことがありません。神戸商工会議所さんの専門家登録をしていますが、職員の方にお勧めされて登録をさせてもらいました。商工会は支援をがっつりやっているイメージがありますので、経営指導員(商工会の職員)の力があり育成することもできているので専門家の登録はないかと思っています。

産業振興センターが政令指定都市にはあるので、定期的に専門家を募集しているのでそのホームページをチェックしてもいいと思います。
https://www.chusho.meti.go.jp/soudan/todou_sien.html

(2)講師依頼について

講師依頼は依頼されるもので売り込むものではありません。商工会議所などでセミナー企画する人は講師を探しているので旬のテーマなどで準備しておいても良いとおもいます。営業する人も多いのですが、この営業は大変なわりに、実りは少ないと思います。メールを送ってもまず検討してくれるとはおもえません。年間のセミナーテーマは決まってるので、入り込む余地は少ないです。商工会・商工会議所のホームページをみればどんなセミナーをやっているかわかるので同じようなテーマのネタはもっておいてもいいでしょう。商工会議所の職員がセミナー企画などで講師選定をしているプロセスはおおよそ次のような感じです。

①テーマ(人材研修、5Sとか)を決める
②会員事業所で該当者がないか確認
会員だからといって講師に確定するとは限りません。
③インターネットで情報収集する(講師のエージェント会社、他の商工会議所のセミナー情報)
私はドリームゲートの専門家と大阪の診断協会の活動を良く参考にしていました。
④近隣の商工会議所で実績があれば評判などを担当者に聞く

③の情報収集で如何に目に留まるかがポイントになります。実績があれば別の場所にも呼ばれる可能性が高くなりますので、実績作りですね。研究会などでの講師などからはじめると良いと思います。仲間に呼んでもらう方法としては、創業塾など連続数回テーマのものは講師が複数人いるので、財務が得意ですとかマーケティングやSNSが得意ですと伝えておけば知り合いの診断士からの声がかかるかもしれません。診断協会などに所属していると商工会議所・商工会とつながっている診断士の先輩もいるので、その人と仲良くなっておくことですね。許可してもらえればSNSなどで実績のある講師とタグ付けなどさせてもらいながら地道に行きましょう。講師養成など商工会議所に呼ばれるための有料の勉強会もありますので、そういったものに参加しても得るものはあるでしょう。

専門家登録もセミナー講師も各支援機関のホームページが起点になるので、気になる支援機関のページを定期的にチェックするのは面倒なので、得意な人はホームページをクローリングしてデータを取りに行くようにしてもいいかもしれませんね。まずは地元の商工会議所からアプローチしてみましょう。

ちなみに講師依頼を受けたい人はホームページを持ってブログで情報発信しておいた方がいいと思います。セミナー講師などは、どんな人に依頼するのかとても不安なので実績とその人の発言をみています。ホームページから直接依頼が来ることは少ないですが、情報収集としてホームページを見に来てくれることや、誰かが紹介や推薦をしてくれた後に、ホームページを確認して、ようやっと講師依頼が来ることはあります。

 

業務委託で企業のプロジェクトに参画

業務委託で他社の仕事をすることです。これは日経新聞などでも取り上げられる最近の副業がこのイメージですね。ただし、業務委託は診断士以外も競争相手になります。手ごわいですよ。私はあまり競争したくないです。なぜならマーケティング戦略や各種ツールをお金をかけて会社で学んできている人たちとは資本力が圧倒的に違うし、実践的なケースを知っていることもありえるからです。ただ、大きな会社の場合は、リソース不足の中小企業のことが肌感でわかりにくく、ギャップがあると言われています。できない理由をしっかりと考えて二人三脚で支援できると中小企業診断士らしくやればいいとおもいます。

プロ人材のスポット採用の求人がでます。サンカクとかスキルシフトという事業です。

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これに登録し、企業側からの採用があれば応募していきます。自身があればマーケティング戦略などの募集がありますので応募してみると良いかと思います。しかもオンラインで対応できるので、副業ができる環境にある企業内診断士にとっては始めたい制度ですよね。

診断協会の仕事

診断協会の仕事は都道府県ごとに違うようです。組織的に事業受託をし斡旋を積極的にやっているところあれば、そうでないところもあります。委員会活動でちょっとでも足しにすることからですかね。大阪は診断協会と士会の2つの組織があり、プロは後者で登録しているようです。会費は高いですが、士会からは仕事もあるので実績作りには良いと思います。会社で副業が許されるのであれば、士会の登録から実績作りがいいかもしれませんね。

診断士には独占業務がないので最初は心配でしたが、弁護士、税理士、社労士さんなどの資格業務に触れなければ割と自由にできるのかなと思います。給与所得がある間は、いろいろと出かけて芽が出そうなものにチャレンジするのがいいでしょうね。

個人的には事業をやってみるのが楽しいし、一番の実績になるのではないかなと思いました。例えば、ECサイトをつくってものをうってみたり、マルシェに出てみるとかですね。マルシェに自ら出店すると店舗としては競合ばかりですが、診断士目線で見ると、マルシェの出店者は顧客候補ですから。創業者の気持ちもわかりますよ。

まとめ

副業用にとまとめていますが、独立している私にとっては本業の大部分ですね。とはいえ、副業の方の一番難しいポイントは、最初の一歩をどのように掴むかだと思います。この一歩を副業に間にできていれば独立する際には安心材料になるとおもいます。私の場合は、プロフィールにも書きましたが直前の民間企業でいろいろあったので準備万端とは言えない状態でした。同業の診断士の皆様のお役に立てれば幸いです。

 

では