経営者保証が不要になる新制度が登場!最適な選択肢とは?

相談事例

経営者保証を必要としない『事業者選択型経営者保証非提供制度』とは?

令和6315日から経営者保証を徴求しない新制度の受付が始まっています。兵庫県の信用保証協会のページでは、「事業者選択型経営者保証非提供制度」、「事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度」「プロパー融資借換特別保証制度」といった3つの制度について受付が開始されています。

 

どんな要件なのか?最適な選択肢は?

兵庫県信用保証協会のページから抜粋しますと以下のような条件になっています。

(1)過去2年間、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
(2)直前決算において、代表者等への貸付金その他の金銭債権がなく、かつ代表者への
役員報酬、賞与、配当その他の金銭の支払が社会通念上相当と認められる額を超え
ていないこと
(3)次のいずれかを満たすこと
①直前決算において債務超過でない(※2)
②直前2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でない(※3)
(4)次の①及び②について継続的に充足することを誓約する書面を提出していること
① 保証申込後においても、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出すること
② 保証申込日を含む事業年度以降の決算において代表者への貸付金等がなく、役
員報酬等が社会通念上適切な範囲を超えていないこと
(5)保証料率の引上げを条件として保証人の保証を提供しないことを希望していること
※1 法人の設立後最初の事業年度(設立事業年度)の決算がない法人の場合、(1)、(2)及び(3)は問いません。設立事業年度の次の事業年度の決算がない法人の場合 (3)は問いません。
※2 貸借対照表において「純資産の額≧0」となること。
※3 損益計算書において「経常利益+減価償却≧0」となること。
(兵庫県信用保証協会のページから抜粋)

経営者保証解除に向けた取組み

債務超過の解消、減価償却前経常利益が連続して赤字でないことなど業態によっては厳しい目標になるかもしれませんが、長期的に取り組むことで解決の糸口も見えそうです。社長自ら中長期の計画を立てて取り組めば達成できるケースも見えてきます。経営改善が進めば経営者保証は解除されてい行くと思いますが、計画を立てて取り組んでも良いでしょう。

とはいっても、「経営改善はやれたらすでにやっているわい!」と怒られてしまうかもしれませんが、まずは独りで悩まないことです。借入を増やさずに経営改善に向けた取り組みは難しいことかもしれませんが支援機関にいるコンサルタントなどに聞きながらできることから始めていきましょう。

経営者保証の解除は、銀行の条件が変わるので、経営者保証は無理に外す必要はないという意見もあります。ただし、保証料を積み増しといっても、保証料による大きな損益インパクトはそれほど大きくなく、個人資産への心配がなくなるので魅力的です。

選択肢が増える一方で懸念されること

たね先生
たね先生

昨年あたりからの中小企業政策の傾向と思います。儲かるところには選択肢が増えます。

経営者保証の解除は経営改善に進むことが条件です。すぐに収益力を改善することができる会社はそんなに多くはないと思います。

コロナ禍では中小企業政策は、経済の安定化の為、保護的な政策が中心でしたが、この1年は補助金も減り中小企業政策は賃上げ余力ある収益力のある会社への施策が多いと感じています。急激な選別になるとは思いませんが、倒産など厳しい対応を迫られる企業もふえてくるのではないかと思います。今はまだ再生支援制度などもありますが、この制度もなくなる可能性もあり、我々中小企業診断士の公的な仕事も少なくなるかもしれません。
経営計画を見直すことや戦略を検討するなど基本的なところから次の時代に備えなくては、流れに乗れなくなる可能性もあります。それは我々士業も同じことが言えると思っています。